さて、今日は大変興味深い質問をいただいたので、回答したいと思います(^^)質問内容は:「僕は今、ミシュランのパイロットロード2を履いています。そこで質問です。雨のコーナリングでよく感じるのですが少し後輪が「にゅるんっ」とアウトにズレる(?)ような感覚がたまにあります。一気に大きくなるものではありませんが、とても不安です。これは滑っているのでしょうか?荷重が足りていないと言う事なのでしょうか?それとも僕の勘違いなのでしょうか?空気圧はもちろん指定圧です。バイクはスズキのグラディウス400、僕は体重55キロといったところです。」
Pilot Road 2のユーザーとのことですが、素晴らしいです(笑)。長く記憶に残る傑作品だと思います。Pilot Road3が発売されて、日本では影が薄くなっていますが、欧州ではいまだに絶大な人気を誇っているタイヤです。
このタイヤの特徴は「タイヤ評価」の過去記事を読んでいただくとわかりますが、非常に剛性が高い作りになっています。デカい外国人が二人乗りで、これまたデカいバイクにフル積載でどどーんと走れるようになっています。実際私の友人がK1300Rに装着してましたが、20000㎞走りましたから(^^; タイヤの中では珍しと言っていいレベルで剛性が確保されています。
グラディウス400に体重55kgという使用条件とのことですが、様々なことを考慮いたしますと、「タイヤがアウトにずれる感覚」というのは間違いなく、と言っていいほどなのですが、リヤサスペンションの動きに起因していると思われます。
体重が55kgとのことですので、標準セッティングでもリヤサスペンションの動きはハードになっていると感じるのが通常です。設計体重が65kgだからです。
ただ、これは好みの問題もありますしバイクメーカーのそのバイクの設計目的もありますので、一概には言えないところがあります。私は体重が58kgしかありませんが、設計体重がもっと重いBMWのサスペンションがソフトに感じますので。
問題なのは、Pilot Road 2のタイヤ剛性がリヤサスペンションを負かしてしまうほど強いということなんです。私は前に乗っていたZX-10でもこのタイヤを装着することによってリヤサスペンションのセッティングを大きく変えましたし、友人のK1300Rに乗せてもらった時もサスペンションに大きく影響しているのを確認しています。
タイヤの剛性やタイヤ自体の動きとリヤサスペンションの動きを別々に判定するのは非常に困難なことなのですが、わかりやすい方法を教えますね(^^)
まず、リヤサスペンションが「タイヤがアウトにずれる感覚」という悪さをしているということを掴むために、リヤサスペンションのイニシャルを少し弱めてください。これでタイヤがさらにアウトにいこうとする感覚が強くなるのなら、リヤサスペンションのせいということになります。いひひ!
この感覚を確認できたのなら、さあ、解決策です。今のセッティングよりハードにイニシャルをしてみてください。おそらく改善されるはずです。もし、改善されたけど、乗り心地がハードになって辛い。。。ということならば、もしサスペンションにコンプレッション機能がついているようなら、こちらを少し弱めるセッティングをすると良くなると思います。もし、ついていないようならば、ハードにしたイニシャルを少し戻すようにしてみてください(^^)
サスペンションのセッティングって実はオートバイの性能を最大限に発揮するために非常に大切なんですが、買った時のままで乗っている人がほとんどという残念な状況かと思います。
それと、ちょっと気になったのは、サスペンションは必ずオーバーホールが定期的に必な部品です。2年も乗っていると、日常的に乗っていると、かなり抜けてくる場合もありますので、必ず行ってくださいね(^^) 私も抜けなくても2年ごとにオーバーホールはしています。オーバーホールから戻ってくると全然違うので、やっぱり性能が低下していたんだなといつも感じるほどです。
それにしても、みつさん、感性鋭いと思いますよ!「おかしいな」と思う感覚を大事にしてください。質問はどんなことでもウエルカムですので、これからもご遠慮なく(^^)