rnb*q*96さんから大変良い質問をいただいたので記事にしたいと思っています。コメント内容は「もちについてですが、2万Km持つという事は、まだ使用はできるけどコーナーリングを摩耗してない状態の時と同じようにできるのは無理ですよね。では実際の使用距離はもっと少ないのでは無いのですか? 」
実は以前にも記事にしたことがあるのだけど、タイヤを選ぶうえで大変重要なことがある。
それは、ライフが長くて、○○○○km走れますよ、というのも重要なのだけど、スリップサインが出そうになるまで使用するとき、新品の何%の性能を発揮できるのかということなのだ。これは本当に大切。
タイヤは装着した時点で劣化が始ります。これは紫外線や水、気温などに影響を受けるからです。
摩耗が進むということはゴムが薄くなるということです。ゴムが薄くなったうえに、ゴムそのものの劣化が進んだらどうなるか、考えたらわかりますよね。
タイヤメーカーのエンジニアも頭の髪の毛も摩耗しきってスリップサインがでるほど日夜研究をし、ずいぶんと劣化の進行が遅くなったのも事実です。性能が格段に落ちるタイヤは見られなくなってきてはいますが、新品に比べますと、確実にその性能は低下しているのです。
タイヤの賞味期限について何度か記事にもしていますが、先のその理由を述べたように、タイヤは使用しなくても劣化します。
私はいつも高速道路(特に雨)で事故のニュースを聞くたびに、「どんなタイヤ履いていたんだろうな」と思ってしまうのです。
4輪車なんかはなかなか溝が減らないからといって、4年も5年も使っている人が多いのですが、確実にウエットにおける制動距離は伸びています(ドライでも)。これは時々JAFなんかでも実験結果が公表されているぐらいで、当然ながらタイヤメーカーもきちんとしたデーターを持っています。
基本的にはスリップサインが出るまでは最低限な性能は確保されてはいます。どこまで行ったら危険なのかという線引は難しいのだけど、何年もかけてスリップサインが出るまで使用していたら危険な領域に近づいていると認識することは大事なことです。摩耗(時間も)が進んでいるということは確実に性能の低下を意味しているからです。
私は自分の4輪は、本当にもったいないのだけど、2年で交換しています。あんまり乗らないので、思いっきり溝は残っているのですけどね。でも、高速道路の使用も多いし、タイヤが原因で死にたくないので、2年ごとに新品に交換しています。交換さえすれば絶対性能が確保できるのは間違いないからです。新品に変えるたびに「やっぱり違うよな」と感じているので、そういう認識をすることは大切です。
オートバイに関しては、私はほぼ毎年交換しています。一番の理由は、摩耗が進行することによるハンドリングの変化や性能低下を嫌うためです。もう一つの理由は、私は仕事柄たくさんのタイヤをテストしますが、全部新品です。私は気になるタイヤは摩耗が進むまで乗ってみたいと思っているので、自分で買って乗り、毎年交換するようにしています(^^)
ちなみに、私は20000kmもつけど新品の60%しか性能を発揮しないタイヤと、10000kmしかもたないけど新品の70%の性能を発揮するタイヤがあったなら、間違いなく後者を選ぶかな。
というわけで、バイクで20000kmまで走れちゃうタイヤもありますが、3年も4年も使っているのはお勧めできません。タイヤは消耗品と割り切り、新品に交換することをお勧めいたします。
ワインと友人は古い方がいいという格言がありますが、畳と女房は新しいという言葉もありますが、これにタイヤを付け足したいぐらい(笑)。
また、数多くのタイヤを経験すれば、それはそれで自分の技量にプラスになります。
たった数センチ四方(名刺より小さいです)で命を支えていると言っていいほど大切なタイヤ。空気圧管理も含め、もっと理解を深めていただけたらと思っています。