いろいろなコメントをいただきましたが、今回も反論されるほとんどの方も丁寧にコメントしていただいたのでうれしく思います。
さて、今回のやり取りについての私の見解について納得できない方がいらっしゃるようですが、命にかかわる物を作っている同じ製造業につくものとしてはやはり「おかしい」と言わざるを得ないのです。
それでは、今回のやり取りを、タイヤメーカーに質問する形でシュミレーションしてみましょう。
質問者:「御社の○○というタイヤは、スピードシンボルがHレンジになっているのですが、なぜZレンジを取得していないのでしょうか」
タイヤメーカー:「Hレンジを開発目的としているので、Zレンジは初めから取ることも目的としていないし、そのつもりもありません」
質問者:「じゃあ、その○○というタイヤはZレンジは通るのですか?」
タイヤメーカー:「通るか通らないかチェックしていないのでわかりません」
という、どう考えてもふざけた回答になるのだが、そんなことはありえない。ちなみにこの質問は、実際にタイヤメーカーによく寄せられる質問でもあります。
OGKははっきりと最初からツーリングモデルとしての開発意識を持っている。つまり、その時点でSNELL規格とSG規格のどちらにするか選択をしているということになります。当たり前ですが、彼らは両方の規格の必要要件を知っているわけですが、自社サイトでも明確に「社内テストを行っている」と公言しています。SNELL規格が眼中にないというのは構いません。しかし、SG規格もJIS規格もつまるところ、SNELLと非常に似たようなテストをしているわけです。社内テストを行っているのなら、最低限でもSG規格に通るか通らないかのデーターは必ずあるわけで、なければ何のテストをしているのかという矛盾を露呈することになるのです。
おまけに、エアロブレード・3は全く新しく作ったヘルメット。どこまで強度が確保されているのか、SNELL規格以前に、SG規格が通るほどの強度があるかどうか調べていないはずがない。本当にしていないというのなら、試験・検査の定義そのものがわかっていないと言わざるを得ないのです。サイトでは「厳しい衝撃吸収試験を繰り返し行い」と明言しているが、「厳しい」ってなんですかね?「繰り返し」何やっているのでしょうね?
zza*ahi*as*i さんのコメントの返事にもなりますが、確かに、アライでもショウエイでもSNELL規格が通っていないモデルがありますが、100%、そのモデルがSNELLに通るか通らないか彼らは自社内テストによって把握してるはずです。そのうえで販売しているわけですし、間違っても「わからない」で販売しているのではありませんから、同等に扱うのは違うと言わざるを得ません。ましてや、私の質問に対して「確かにそうなんですが。。。」と答えていることからも、日常的にテストをしているか疑念がわくわけです。
また、coi**i10さんがコメントされているように、私はSNELL規格を強制しているわけではないのです。SG規格との性能差について明確に提示する必要があると言っているのです。ですから、SHOEIミドルレンジ使用者さんがコメントされていることは申し訳ないのですが、見当違いということになります。また、私はSNELLが完ぺきとは一言も言っていません。あくまでのSG規格との性能差がどれだけ安全性に影響を与えるのかということを追求し、言及していることをご理解いただきたいと思っています。ただ、現状のSNELLの試験内容を見ますと、SG、JIS規格より衝撃吸収や貫通試験に関しては高いレベルで求められているのは事実ですので、SNELL規格が比較対象となるわけなのです。シャープに関しては、日本で認知されておらず、またその製品がほとんど流通していない現状を考えますと、やはり日本で買えるヘルメットの基準としてはSNELL、SG、JISとなるかと思います。
これはゆきちさんのコメントの返事となりますが、私はSG規格を否定しているのではありません。詳しくはこの記事の中でも触れていますが、誤解されるといけないので明記しておきます。また、実は今回はOGKの名前を出すつもりはなく、SG規格について記事を書くつもりだったのですが、あまりにもふざけた対応だったので名前を出したわけです。今回の対応は矛盾に満ちているだけでなく、不誠実極まりないと判断しています。命にかかわるものを作っている製造業に従事している者なら、看過出来ないことでもあるのです。
狂頭さんの気遣いあるコメントありがとうございます(^^)。反論も私は基本的には大歓迎ですので、どんどんどうぞ(笑)!MotoGPの話ですが、これは基本的にMotoGP自体がもともとヨーロッパのレースで、SNELLがアメリカの規格だからの一言に尽きます。欧州とアメリカでは当然ながら考え方も違いますし、ヨーロッパ製品がアメリカの規格を通すのはいろんな意味で無理がありますので、欧州の規格において、レース参戦が認められています。私自身もSG規格で意外(?)に実用面では問題がないのなら、SG規格でもいいと考えてはいますが、先に触れましたように、どのぐらい性能差があるのかが非常に気になるわけです。これも先に触れましたが、日本では欧州の規格では作られていませんし、物も出回っていませんので、結果的にSNELL規格が比較対象になっているので、SNELLありき、というわけではないことをご理解いただけたらと思います(^^)
hornetさんのコメントですが、欧州の規格とSNELLの規格、どちらが良いのかは、人体実験でしかわからないと言われています。これもあと10年もすればまたいろいろと分かってくるのではないかと思っています。Z-6の件は正直わかりません。ただ、国際選手権ですので、Z-6を欧州で購入し、現地で認められている規格なら使用はOKになると思います。
フルフェイスさんのコメントですが、MFJはFIM公認の国際格式のレースではSNELL規格でないと認証されません。JIS規格では貫通試験の追加テストを受けなければ、MFJ公認の国内レースでも認証されません。MFJだから安全というのではなく、あくまでも「規格」の内容だと思っています。
何人かの方から企業責任を問うのは言い過ぎという意見がありましたが、命を守るヘルメットを作る企業には当然企業責任が発生します。なかったら何でもありです。少し前に問題になった耐震構造についても同じことが言えます。人の命にかかわるものを作るものは、責任の所在が求められるは当然のことです。何でもアリだったら、完全な抜き打ち検査出ない限り、いくらでも操作できます。その検査の時だけ、ちゃんとしたものを提出すればいいわけですから。テストは全品検査ではないのですから、いくらでもごまかせるのです。そこに製造業者としての社会的信用問題につながるのだと考えています。バカでかいタグで「ビックバイクもOK」とやるのが品質の保証ではないと思います。
さて、冒頭に記述したタイヤメーカーとのやり取りですが、きちんとした回答はこうなります。
「Hレンジでも大体の製品はZレンジも通ります。ベンチのテスト結果でも確認し、把握しています。タイヤのコストを下げ、よりお求めやすい価格で提供するためにHレンジとしています。Zレンジとするにはより多くの時間とお金がかかるからです。また、そうすることで、ユーザーの方により多くの選択肢を提供する結果にもなるからです。サーキットでも300km/hが出るのはほんの数秒ですし、200km/hで巡航する環境も日本にはありませんので、Hレンジで十分な性能を確保していますので、安心してお使いください。」
今回のOGKに関する記事は、OGKを糾弾しているような内容になってしまっているけど、同じ命を預かる物を作る業界に従事している者として言いたいのは、もし、OGKがSG規格でも十分と考えているのなら、堂々とそう言えばいいのである。「うちの会社はSG規格で世界一のヘルメットを作ります」。それでいいじゃないか。SNELL規格を通るか通らないかわからないって、それは仕事していないとの同じでしょ。何が信用を生むのか真剣に考えるべし。
その他、直接お返事できなかった方も、記事を持って返答とさせていただきます(^^)