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Channel: テストライダーという仕事
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プロテクター考察

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近いうちに記事にしようと思っていたことなんですが、坂井選手の事故のこともあり、安全装備について考察したいと思っています。
 
ご存知の通り、昨年シモンチェリ選手が痛ましい事故で亡くなりました。また、同様なケースで一昨年、富沢選手もなくなっています。
 
私が痛切に思うのは、レースを行う際に、プロテクター類を標準化出来ないかということです。
 
現在FIMでその仕様がある程度規定されているのはヘルメット、ツナギ類のみです。その他のプロテクター類は、「使っていればいい」という程度のレベルでしかありません。
 
例えば、私はこのブログで何度も何度も胸部プロテクターの重要性を説いていますが、その中で、「フォースフィールド」という製品の秀逸さについては、多くの人に知ってもらいたいと思っているほどなのですが、実際、現存する胸部プロテクターとバックプロテクターにおいて、「衝撃吸収力の能力」と、商品のどの部分に負荷がかかっても「均一に衝撃を吸収する」のはこの商品しかありません。これは第三者のテストでも証明されており(欧州で)、信用が置けるものです。一流ブランドとして知られるプロテクターが、とんでもない結果を出していたりしている事実に驚かざるを得ません。
 
私はシモンチェリの事故があったとき、関係者を通じてFIMに働きをかけるように話をしていますが、用品メーカーも自信があるのなら、是非FIMに掛け合ってほしい。「これが現時点で世界最高レベルのものです。是非これを標準化してください」とアクションを起こしてほしいのです。FIMもそれらのプロテクターを検証し、積極的に採用する姿勢を見せて欲しいと思っています。
 
これからも同様の事故は確実に起こります。それは間違いないことです。もちろん、どんなプロテクターをしていても、防げないこともあるでしょう。でも、「もしあれを使っていれば」というような疑念があってはならないと思っています。
 
今回、シモンチェリのヘルメットが脱落していましたが、私からしてみると、あり得ないことです。原因は顎紐が切れたことに起因しているのですが、FIMは調査すると言っていますし、遺族も訴訟の構えを見せています。当のAVGヘルメットは、「一定の力がかかると、首が千切れないように(!)、顎紐が外れるようになっている」と声明を出しましたが、聞いてびっくりです。はたしてそれがライダー、そして一般ユーザーに知らされていたかということも問題です。恐らくシモンチェリは知らなかったのではないでしょうか。知っていたら、そういうヘルメットを使っていたでしょうか。FIMはその事実を知っていたのでしょうか。わからないことだらけです。
 
ヘルメットが脱落しなくても、シモンチェリの命が救えなかったといわれてはいますが、それでは、ネックブレイスをしていたら?もっと高性能のバックプロテクターや胸部プロテクターをしていたら?そういう疑念は尽きませんし、それは残されたものを大きく悲しませ、傷つけることでもあります。
 
事故が起きてからはどうすることも出来ません。でも、その時に誰もが納得するプロテクターを使用していたら、残された者の悲しみも、少しは和らぐのではないでしょうか。
 
去年、残念なことを見聞きしたことがありました。
 
とあるコースを見学していた時だったのですが、そこに車いすに乗った若者がいたのです。そばで彼らの話を聞いていると、最近コースで事故を起こし、やっと退院してこの日に顔を出すことが出来たと言っていました。
 
あとで、コースの関係者に話を聞くと、125ccのワンメイクレース中に、転倒。運悪く後続車が背中から突っ込んで脊椎を損傷したとのこと。残念なのはバックプロテクターをしていなかったという点でした。125ccで、しかもコーナーの立ち上がりだったので、大してスピードも出ていないのに、このライダーは取り返しのつかない障害を一生負うことになってしまったのです。
 
これはコース関係者も言っていたことなのですが、「最近のライダーはマシンのパーツやトランポには金をかけるのに、プロテクターは後回し。どうかしている」と。
 
これは全く私も同感のことであり、レースをする者は当然のこと、コースを一般走行するライダーにも声を大にして言いたいことがあります。胸部プロテクター、バックプロテクターを使わないのなら走るなと。走る資格なしと言ってもいい。私が使用しているバックプロテクターは2万円で買えるものだが、何年もずっと使えるし、リスクが格段に下がることを思えば決して高くないはずです。
 
安全にお金をケチっては絶対にいけないこと。そういうことに対してきちんと決断できるということは、何においても大切なことだと常々感じています。
 
全国紙に載ったりすることはあまりないので、知られていませんが、毎年日本で何人ものライダーがコース走行で命を落としています。これはレース中というより、楽しんで走るような一般走行中に多く発生しています。自分がしていることがどういう結果を招くことになるのかを理解する必要があります。
 
コース走行だけでなく、一般道で走る場合もやはり胸部プロテクターは是非していただきたい。これはヘルメットをかぶると同じぐらい重要なことと認識していただきたいのです。
 
長くなったので続きは次回にいたしますが、次の記事では、私が現在注文し使おうとしている、世界最新のネックブレイスの話をしたいと思っています。

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