今回はフロントタイヤに採用されているサイピングについて一言。
誰もが驚いたように、タイヤメーカーに衝撃が走ったこのパターン。私はアルマジロみたいだなと思ったけど、「仮面ライダー」という意見も今回コメントでいただいたけど、確かにアルマジロより確かに仮面ライダーだ!と妙にすっきりした(笑)
それはともかく、このタイヤを見たときに、他のタイヤメーカーは思い知らされたはず。各社のエンジニアはショックを受けたのは間違いない。それはなぜか。
これは、技術的に絶対にまねできないというものではないのだけど、まさに「アイデア」そのものだからだ。発想の時点で負けていれば、これは技術に追いつくよりはるかに難しい。ミシュランが世界をリードしているタイヤメーカーたるゆえんでもあることが如実に感じられるタイヤパターンとも言える。
このフロントに採用されているパターンについてさらに言及するならば、ドライグリップにてこのサイピングが果たす役割について、まったくトンチンカンなことを記事があった。あまりにも間違っているので名前を出しちゃうけど、Bikers Stationとかいう雑誌。
読んでぶったまげたのだけど、ドライで負荷がかかった時に、よりグリップ力を発揮するのは、このサイピングが潰れて接地面が広くなるから。。。というようなことが書いてあったけど、うはははっ!そんなわけないだろ~(笑) このインプレッションを書いたライターは、自己紹介のところで「理論派」と書いてあったけど、まあ、理論的というより、単なる「こじつけ」だな。ミシュランもきっと苦笑いしているだろうな(笑)。
この記事を書いた人は、恐らく何も分かっていないのだろうけど、わからなければ無理して記事書かなければいいのにと思う。こんな記事書いてお金をもらっているんだと正直思った(雑誌社も)。
これは多くの人が誤解していることでもあるのだが、サイピングがどのように作用するかということ。
単にサイピング全体が路面に当たり、排水をしているのではないのである。実はサイピングの「エッジ部分」が路面に当たり、水膜を切ることを第一目的としているのだ。その効果のことを文字通り「エッジ効果」と呼んでいるほどである。そのことにより、よりドライに近い状況を生み出そうとしているのだが、簡単に潰れてふさがっちゃったら意味ないがないのである。
もし、このサイピングが、ケース剛性やコンパウンド特性を押しのけて、一番接地感やグリップに寄与しているというのなら、異常偏摩耗が起きるのは間違いないのである。まっすぐ走るかどうかも疑わしいし、振れも収まらないだろう。このサイピング、公表されてもいるがグルーブと同じ深さがあるのだ。トレッド剛性が確保されていなければ、そうなってしまうことは、初心者にもわかること。指でタイヤを押してもダメ。時速100キロでタイヤが回転しているときのトレッドにかかっている力を想像してほしい。トレッドが大きく動いたら真っ直ぐすら走るわけないのである。
大体、そんなことでグリップ力を増そうとすること自体、ミシュランだけでなく、どのタイヤメーカーもしないこと。
何度も言うけど、このタイヤの接地感やグリップはケース剛性とコンパウンドで出されている。サイピングも寄与していないわけではないが、それは微々たるもの。このライターはあまりにも斬新的なパターンにオロオロして、先入観が先行しちゃったんだろうな。
話がちょっとずれたけど、フロントに採用されているサイピングはあくまでも対ウエットのために採用されているので、よろしくです(笑)
ドライのグリップについてはまた次回に(^^)
(続く)